時系列解析演習1

今回は東北電力(9506)の2004年度から2010年度にかけての四半期毎の営業利益について分析する。まずは、そのデータを表1に示す。

次に、そのデータを時系列順にグラフにした。さらに、三次の移動平均線も同時に描写されている。

図.2

電力需要は季節の変化、特に気温の変化に大きく左右される。特に東北電力は東北6県の電力をまかなっているため、冬の需要が大きい。よって、年をまたいで大きく利益が伸び、夏にかけては比較的涼しく需要が落ち込むため、利益が減少すると考えられる。もちろん、年によって猛暑や、暖冬などは起こりうるが、グラフよりその傾向が見て取れる。

図.3では統計的な代表値をまとめて箱髭図として表したものである。都合により、具体的な統計値は記さない。

図.3

このグラフ図を見ると、2008年は特異な年と言えるかもしれない。一年を通して相対的に低い営業利益を計上している。これは、前年度のサブプライム危機から2008年のリーマンショックの影響により、景気の悪化や円高で大口の電力利用者の需要が減ったためだと考えられる。

最後に、図.4をあげる。これは、営業利益の変化から周期的な部分を取り出したものである。この結果より、上記で示した季節による需要変化が裏付けられる。

図.4

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やはり、電力会社の利益は人々の需要に大きく影響されているようです。とは言うものの、誰もが使う電気だから営業利益の変動はそれほど激しいものではなく、安定的に推移しています。しかしながら、今回の地震により、沿岸部の工場が津波により壊滅状態に、さらには各世帯も大きく地震の影響を受けているので売上の減少は必至でしょう。さらには、原子力発電のリスクも顕在化し、設備点検、補修、震災対策、廃炉など莫大な費用がかさむことも当然考えられます。短期的な変動になるのか、それとも長期に影響するのか、今後10年の推移が気になります。